
交通事故が発生した場合、その状況に応じて過失割合が決まります。この記事では、過失割合が決定するまでの流れや損害賠償額へ与える影響、事故が発生した際にやるべきこと、事故形態別の過失割合等を解説します。
- 過失割合とは?
- 過失割合は誰が決める?
- 過失割合判断のベースとなる考え方
- 相手のいる事故が発生した際にやっておくべきことは?
- 過失割合はどのように決まる?
- 事故形態別過失割合
- 過失割合の交渉で揉めやすいケースに注意
- 東京海上日動の自動車保険で事故対応もあんしん
過失割合とは?
交通事故の過失割合とは、事故が発生した際に、当事者双方の責任(過失)の度合いを数値で示したものです。例えば、過失割合が自分30:相手70のように、「自分の過失」と「相手の過失」による負担がどれくらいになるか数字で表します。
自分の過失割合が大きいほど、受け取れる損害賠償額は少なくなり、支払う負担は増えます。なお、このように被害者側にも過失がある場合に、加害者が支払う賠償額を被害者の過失割合に応じて減額する仕組みを「過失相殺」といいます。
過失割合は誰が決める?

過失割合を決める場合は、一般的には双方の保険会社が窓口となって交渉しますが、最終的には事故当事者双方の合意が必要となります。また、合意に至らない場合は裁判所や弁護士が関与するケースもあります。それでは、どのような流れで進むのか詳しく見ていきましょう。
基本は保険会社間の交渉と当事者の合意
過失割合は、一般的には事故当事者が加入しているそれぞれの保険会社が代理人として交渉に関与し、最終的には双方の合意によって決定します。
しかし、過失割合が自分0:相手100と見込まれる場合は、被害者側の保険会社は示談交渉に入れません。弁護士資格を持たない保険会社が、示談交渉等の法律行為を行うと「非弁行為」に該当し、法律違反となるおそれがあるためです。この場合は、自分で相手方とやりとりするか、弁護士に依頼するのが一般的です。
また、警察は事故現場の検証や状況の記録、法令違反の有無の確認を行いますが、民事不介入のため過失割合についての決定権はありません。事故当事者が届け出をすると警察から「交通事故証明書」が発行されますが、この証明書にも過失割合は記載されません。
弁護士や裁判所が関与するケース
保険会社の交渉や当事者間の話し合いで最終的な合意に至らない場合、弁護士が代理人として交渉に関与することもあります。証拠の収集・整理、主張書面の作成を通じて争点を明確化し、それでも折り合えなければ調停や訴訟に移行し、訴訟では裁判所が過失割合を判断します。
特に、損害額が高額な場合や、証拠が不足・矛盾している、交通ルール上の優先関係や信号の色の認識が食い違っているといったケースでは、弁護士の関与を検討するという選択肢も可能です。
過失割合判断のベースとなる考え方
過失割合を判断する際に、「予見可能性」と「結果回避可能性」が重要な要素となります。それぞれの意味は下記のようになります。
<予見可能性と結果回避可能性とは?>
・予見可能性:道路の見通し、信号や標識、優先関係、周囲の交通の流れ、天候・時間帯等から、事故の危険を事前に予測できたか
・結果回避可能性:減速・停止・進路変更、合図や警音器等、適切な運転操作を取れば事故を回避・軽減できたか
予見可能性と結果回避可能性の両方があるにも関わらず、結果を回避するための適切な行動をとらなかった場合に、過失責任が問われることになります。
例えば、30m先の脇道に一時停止している車が見えていたなら、「進入してくるかもしれない」と予測し、減速や警音器で注意喚起する等の対応ができたか、という観点で評価されます。
相手のいる事故が発生した際にやっておくべきことは?

過失割合は、どれだけ客観的な証拠を残せるかで大きく変わります。事故直後は慌てず、まずは安全確保と警察への通報を行った後に、その他やるべきことを対応するようにしましょう。
安全確保と通報が最優先
事故直後は、ハザードや三角表示板・発炎筒で後続車に知らせ、可能なら路肩等の安全な場所へ退避します。負傷者がいれば救護を行い、まず119番(消防・救急)へ通報。その後に必ず110番(警察)にも連絡しましょう。
ドライブレコーダー映像の保存
ドライブレコーダーは上書き防止設定に切り替え、SDカード等の記録媒体を取り外して保管することをおすすめします。また、事故前後の映像(少なくとも前後5~10分)は、別媒体にバックアップも取っておくといいでしょう。
事故現場や当事者車両の損傷箇所の撮影
交差点や道路全体がわかる全景の写真、両車の位置関係や信号機・標識・路面表示がわかる写真、車両の損傷箇所やブレーキ痕等のアップ写真をスマートフォン等で撮影します。車両の損傷箇所は角度を変えて複数枚撮っておくことが大切です。
また、撮影時はスマートフォンの位置情報と時刻の記録をオンにし、原本は加工せず保存しましょう。
目撃者がいる場合は連絡先の交換を
目撃者がいれば、後日証言をお願いできるように、氏名と電話番号等の連絡先を交換しておきましょう。もし可能であれば、衝突時の信号の色、車の位置等をその場で確認することも大切です。
過失割合はどのように決まる?
過失割合は、単に保険会社の判断で一方的に決まるものではありません。過失割合が決まるまでの流れを順番に見ていきましょう。
1 事故状況のすり合わせを行う
当事者双方の証言や現場写真、ドライブレコーダーの映像、防犯カメラ等の資料をもとに、進行方向・速度・信号の色・接触部位・停止位置等を整理します。
2 類似した裁判例を基準に「基本過失割合」を決める
過去の裁判例を参考に、今回の事故に近い形態(例:直進同士、右折直進、道路外出入り、車線変更等の道路形態および車両・歩行者の動き)の基本過失割合を設定します。
3 基本過失割合から修正すべき要素の有無を確認する
道路交通法違反(速度超過・飲酒運転等)、著しい不注意や危険な運転態度、夜間・天候・見通し等の事情を踏まえて、基本過失割合を修正します。相手側の重大な過失があれば、自分の割合を下げられる可能性もあります。
4 話し合いを繰り返し、当事者が最終的な合意をして過失割合が決まる
当事者が加入する保険会社が窓口となって交渉し、最終的に当事者双方の合意のもと過失割合が決定します。合意に至らない場合は、弁護士や裁判所が関与することもあります。
事故形態別過失割合
次に、事故形態別の過失割合について見ていきましょう。ただし、ここで示すのはあくまで目安となります。最終的な過失割合は、信号の状況や優先関係、速度、視認性、合図・安全確認の有無等さまざまな要素により変わってくるため、参考として確認してください。
四輪車同士の事故
まずは、四輪車同士の事故について、複数のパターンを見ていきましょう。
交差点:双方とも直進車
例:信号機のある交差点に直進車がそれぞれ赤信号・青信号で進入した場合の事故
■双方とも直進車の事故例

信号機のある交差点では、信号に従うことが大前提です。青で直進したBに過失は原則ありません。赤信号で進入したAの過失が100%というのが基本的な考え方です。
ただし、信号の切り替わりのタイミングで起きた事故等、B側にも著しい速度超過や前方不注視等があれば、Bに過失が発生することもあります。
交差点:右折と直進
例:信号機のある交差点に、直進車・右折車ともに青信号で進入した場合の事故
■交差点における右折と直進の事故例

信号機のある交差点では、右折車は対向直進車の進行を妨げないのが原則です。ただし、直進車から対向車が見えている場合は、直進車は対向車が右折してくる可能性も予測して運転する義務があります。したがって、このケースの考え方は、右折側の注意義務が重く、B80%:A20%が基本過失割合の目安になります。
交差点:信号なし・一方が優先道路
例:交差する道路のうち一方が優先道路である場合の事故
■信号のない交差点での事故例 
Aが優先道路を直進し、Bが非優先側から交差点に進入したケースです。優先道路とは、センターラインが交差点内まで連続している道路を指します。非優先側のBには一時停止・徐行と左右の安全確認義務が重く、B90%:A10%が基本過失割合の目安となります。
一方で、Aにも前方注視や安全な速度で進行する義務があるため、交差点へ進入する車の存在を予測して注意する必要があり、Aにも10%の過失が発生するのが一般的です。
道路外出入り
例:道路外から道路に進入するために左折する場合の事故
■道路外出入りにおける事故例

道路を直進しているAと、道路外から左折で道路へ進入するBが衝突したケースです。道路交通法では、他の車両の正常な交通を妨げるおそれがあるときは、道路外からの出入りに伴う右左折をしてはいけないと定められており、進入側の注意義務が重く評価されます。
このため、B80%:A20%が基本過失割合の目安です。直進車にも、出入口付近では車の出入りを予測して前方注視や安全な速度での進行の義務があるため、Aにも20%の過失が発生します。
車線変更
例:同じ方向に進む車両同士の事故
■車線変更における事故例
同一方向に進行中、B(進路変更車)が車線変更を行い、後方を直進していたAと接触した場合の基本過失割合です。道路交通法では、進路変更によって後方車の速度や方向を急に変更させることになるおそれがあるときは、むやみに進路変更してはいけないと定められています。
一方で、後続直進車のAにも、合図等から前車の進路変更を予測して前方注視・車間保持を行う義務があり、B70%:A30%が基本過失割合の目安となります。
高速道路
例:合流地点での事故
■高速道路の合流地点での事故例

加速車線から本線車道に合流するB(合流車)と、本線車道を走行中のA(本線車)が衝突した場合の基本過失割合です。合流時は本線車の進行を妨げてはならず、合流側の注意義務が重く評価されます。一方で、本線側も合流車を確認できるため、減速や車線変更等で回避に努める必要があり、B70%:A30%が基本過失割合の目安となります。
四輪車と二輪車の事故
次に四輪車と二輪車の事故のケースについて見ていきましょう。
交差点:右折車と直進車
例:信号機のある交差点に、直進二輪車・右折四輪車ともに青信号で進入した場合の事故
■交差点における四輪車と二輪車の事故例
信号のある交差点における、直進二輪車Aと右折四輪車Bの事故についての基本過失割合です。右折する車は直進や左折の進行を妨げてはならないため、右折四輪車の注意義務が重く評価されます。
一方で、直進二輪車にも交差点内をできる限り安全な速度と方法で進行する義務があります。そのため、B85%:A15%が基本過失割合の目安です。
交差点:左折車と直進車
例:信号のない交差点で、左折する四輪車が、後方から直進してきた二輪車を巻き込んだ事故
■交差点における四輪車と二輪車の事故例
信号のない交差点で、四輪車Bが左折開始時に、後方の直進二輪車Aに気づかず巻き込んだケースです。左折車は、交差点手前30mを目安に合図を出し、道路左側へ寄せ、左端に沿ってゆっくり左折することが求められます。二輪車は道路左側を通行することが多いため、左折車はその存在を十分に確認する義務があります。このため、B80%:A20%が基本過失割合の目安です。
なお、二輪車側に著しい前方不注意(例:わき見走行)や、時速15km以上の速度超過等が認められる場合は、二輪車Aに10%程度の過失が上乗せされることがあります。
四輪車と歩行者の事故
次に、四輪車と歩行者の事故を見ていきましょう。道路交通法では歩行者保護が原則のため、横断歩道を含むさまざまな場面において、周囲の安全確認や速度調整等、運転者によりいっそうの注意が求められます。
横断歩道上
例:青信号で横断歩道を渡る歩行者と赤信号で進入した四輪車の事故
■横断歩道上の事故例 
歩行者Bが青信号で横断中に、四輪車Aが赤信号で交差点へ進入して衝突したケースです。歩行者は青信号の横断歩道上では、原則として過失は発生しません。車は横断歩道上に歩行者がいる場合、その通行を妨げてはいけません。そのため、赤信号無視の四輪車は100%の過失となります。
車道:横断しようとした歩行者と四輪車の事故
例:横断歩道のない道における、直進車と車道を横断しようとした歩行者との事故
■車道における四輪車と歩行者の事故例

交差点や横断歩道が近くにない片側一車線の道路で、直進していた車Aと、横断しようとした歩行者Bが衝突したケースの基本過失割合です。このケースは、歩行者側が横断歩道のない場所を渡っているため、一定の過失が認められます。一方、車は前方注視や速度調整等の配慮が求められるため、A80%:B20%が基本過失割合の目安です。
なお、時間帯が夜間である場合や、片側二車線以上ある幹線道路への飛び出し等では、歩行者側の過失が上乗せされることがあります。反対に、車側にわき見運転や速度超過があれば、車側の過失が増える可能性があります。
四輪車と自転車の事故
次に、四輪車と自転車の事故のパターンを見ていきましょう。
例:同程度の道幅の交差点で双方が直進車の事故
■交差点における四輪車と自転車の事故例

同程度の道幅で信号のない交差点において、直進する自転車Aと直進する四輪車Bが出会い頭に衝突したケースです。自転車は道路交通法で軽車両として定められており、四輪車に比べて交通弱者となり、速度も遅くなることが前提とされています。このため、基本過失割合の目安はB80%:A20%となります。
駐車場や私有地での事故
駐車場や私有地で起こる事故のケースについても見ていきましょう。
例:駐車場内で駐車スペースから出る際に、前方通路を走る車と衝突
■駐車場や私有地での事故例
四輪車Bが駐車スペースから出ようとして、通路を走行する四輪車Aと衝突したケースです。駐車スペースから通路へ出庫する側の注意義務が重く評価されます。
そのため、基本過失割合の目安はB70%:A30%となります。なお、A・Bいずれかが前進・後退していた場合でも、この割合が基本過失割合の目安です。
過失割合の交渉で揉めやすいケースに注意
過失割合は当事者の最終的な合意で決まり、損害賠償額に直結することから、示談が難航するケースも多くあります。特に次のような場面は注意が必要です。
<過失割合の交渉で揉めやすいケース例>
・事故状況に関する証拠がない
・損害額が大きい
・どちらが悪いか判断しにくい
・駐車場内で発生した事故
過失割合の交渉は、客観的な証拠の有無に左右されます。証拠が乏しいと交渉が長引くことも多いため、ドライブレコーダーの映像や事故直後の現場写真、目撃者の証言等を可能な範囲で集めましょう。また、相手方(保険会社)には、どの基準にもとづき、どの点を修正して提示しているのかを文書で説明するよう求め、やりとりは書面やメールで記録に残すといいでしょう。
東京海上日動の自動車保険で事故対応もあんしん
万が一相手がいる事故に遭ってしまった場合は、過失割合について考えなくてはなりません。事故が起こった際は予想しない突然のことで不安や焦りがあるかもしれませんが、なるべく証拠を確保する等の行動が必要になります。
また、過失割合は損害賠償額を大きく左右し、交渉には精神的な負担も伴います。こうした事態に備えて、事故後のサポート体制が整っている自動車保険を契約することが重要です。
東京海上日動の「トータルアシスト自動車保険」なら、24時間365日の事故受付と専門スタッフによる示談交渉サポートで、事故後の対応をバックアップし、不安と手間を軽減することができます。
また、自動車保険は多彩な特約を用意しており、例えば弁護士費用特約を契約しておけば、費用の心配をせずに専門家によるサポートを受けやすくなります。
併せて、東京海上日動のドライブレコーダー特約「ドライブエージェント パーソナル(DAP)」は、事故時の映像の自動記録や自動発報等を行うタイプのため、契約をしておくと事故直後の対応や証拠の確保もあんしんです。ぜひ、東京海上日動の「トータルアシスト自動車保険」を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事は自動車保険の概要についてご紹介したものです。ご契約にあたっては、必ず『重要事項説明書』をよくお読みください。また、詳しくは『ご契約のしおり(約款)』をご用意しておりますので、必要に応じて、東京海上日動のホームページでご参照いただくか、ホケノカウンターまたは東京海上日動までご請求ください。ご不明な点等がある場合には、代理店または東京海上日動までお問い合わせください。
トータルアシスト自動車保険は「総合自動車保険」のペットネームです。
2026年1月時点の内容であり、商品改定等により補償内容が変更となる可能性がございます。

監修
1級ファイナンシャルプランニング技能士
畑野 晃子さん
損害保険会社、生命保険会社での勤務を経て結婚を機に退職。その後、住宅購入の際にFPへ相談したことをきっかけに、ライフプランニングサービスに魅力を感じ、1級FP技能士資格を取得して現職。商品提案ありきではない、より中立的な立場でお客様の課題を解決したいと考え活動している。